私的ガールズ・J−POP時評
(04・2・22)

 女性ヴォーカリストの流行り唄、いわゆる、ガールズ・J−POPが好きです。

 もともと中学生の頃、「ニューミュージック」なるジャンルが一世を風靡し、当時の

私はフォークギターを片手に、松山千春や長渕剛にハマッていたのですが、一時の熱病

だったのか、中学を卒業したら、とんと歌の世界からはまったく遠ざかっていました。

 んで、30を過ぎて、東京新聞で2度目のブンヤ生活を始めたとき、TOKYO発と

いう裏一面で特集記事を書くセクションにいたのですが、そこでは権力批判という硬派

ネタを打っていく一方で、ヒマダネといった軟派なストリートの話も結構、書いていた

こともあって、その情報収集の一環として、「まあ、最近の流行り唄くらいは知っとら

んとアカンな」という軽いカンジで、土曜深夜のCDTVを見るようになりました。

 最初はあくまで情報収集のつもりだったのですが、毎週見ているうちにだんだんとハ

マッしまい、今ではすっかりオタクの域に達しています(笑)。

 中でも、女性ヴォーカリストはなんて言うのか、やはり男性として耳に優しいという

のか、一種の疑似恋愛的体験とでもいうのか、聴いてて楽しいですね。

 そうした経験の蓄積から、最近のガールズ・J−POPについて、私の独断による寸

評を記していきたいと思います。

 【浜崎あゆみ】

 最近、髪をバッサリ切って、デビュー当時に近い、かなりショートになりました。や

っぱり、あゆは短い方が似合う。

 ウワシンで、Coccoからの歌詞パクリ疑惑が指摘されていましたが、あれだけの

シングルを量産するには、そういうウラがあるんだろうなあとは思います。ただ、毎度

のことながら、一定のレベルをコンスタントに維持してると思います。

 彼女の歌声は、個人的には、すっごく尾崎豊に通じるものがある。生命のうずきとで

もいうのか、傷口がひくひくと動くような痛みを感じさせる。

 「あゆは堀越学園の芸能コースを落ちました」ということを、あっさりとカミングア

ウトするところともつながってるのかもしれないが、腹を括って、「歌う」ということ

に人生を賭けてるなあ、というのがよく伝わってくる。トップランナーとしてのオーラ

を保ち続けているのは凄いと思う。

 【倉木麻衣】

 デビュー曲の「Love,Day After Tomorrow」を初めて聴いた

とき、ダウンタウンの浜ちゃんではないですが、ホンマに「宇多田ヒカルのパクリ」だ

と思いました(もっとも和製R&Bの宇多田自身が、本家のアメリカのパクリと言えな

いこともないですが)。

 それもあって、彼女の歌をじっくりと聴くということはなかった(敢えて避けていた

)のですが、最近発売になったベスト盤(「Wish Your The Best」

)を聴いて、「いいなあ」と思うようになりました。だんだんと枚数を重ねるにつれて

、オリジナル的なものが出てきてるようには思いますが。

 特にクセがあるわけでもなく、さらっとしてて聴きやすい歌が多いですね。インパク

トはないけれども、あんまり飽きのこない歌声です。外見もそこそこカワイイ。

 【宇多田ヒカル】

 デビュー当時は本当に大好きでしたが、何曲目かなあ、「Can you keep

a secret?」を最後に遠ざかりました。だんだんと歌詞が陳腐なものになり、

病気をしたこともあって、ちょっと(というか、かなり)イマイチですね。

 っていうか、「ああ、コイツ終わったなあ」って思ったのは、ブッシュが来日したと

き、歓迎レセプションに招かれたということで、ホイホイと官邸に乗り込んでいって、

はしゃいでいるのを自分のサイトに書き込んでいるの見たときでした。これはアーティ

スト以前の、人間としての資質の問題ですから。

 まあ、名前はそれなりに一般にも知れ渡っているので、それでCDを買う層はいるで

しょうが、その一方で私のように彼女から離れてしまった層も相当いると思います(そ

れゆえ、私は倉木麻衣に寝返ってしまいました)。

 ここはあまりあせらずに、1回くらい音楽から完全に遠ざかってもいいんじゃないか

と思いますね。せっかく、コロンビア大学に合格していたんですから、もし、まだ復学

できるのであれば、今のアメリカをじっくりと見るなどして、そこからまた、自分の音

楽を再構築しても、全然、遅くはないと思います。この底をくぐり抜けて、本当に化け

たら面白い。

 【Cocco】

 突然の活動休止からまもなく3年になります。

 確か、最後のテレビ出演がミュージックステーションだったと思いますが、そこで「

テレビに出るのがイヤだ」と彼女が言ったとき、タモリが「だったら出なきゃいいじゃ

ん」と水を向けると、「(それでも)出さされる」と返していたのが、何とも印象的だ

ったのを覚えています。

 確かに、テレビで見てて、異常に緊張しているのがよくわかって、なんて言うのか、

ネアンデルタール人か縄文人をタイムマシンに乗せて現代に連れてきて、テレビに出演

させたら、「ああいうふうになるんだろうなあ」と思いました。

 最近はよく「裸足の歌姫」というふうに、素足のまま歌う女性ヴォーカリストが増え

ていますが(中島美嘉、元ちとせ、一青窈etc)、その始まりは確か彼女だったよう

に思います。

 詩に独特のセンスがある。「けもの道」や「水鏡」、「雲路の果て」など、やっぱり

、自らの身を切ってコトバで表現していると思う。そんなふうな歌詞をさらっと書ける

コというのは、案外いない。だから、思わずあゆがパクってしまうのもわかる。

 たぶん、彼女が歌うのを止めたのは、アーティストとして汚れてゆくことを拒否した

からではないのか、と思えてならないのです。

 【松たか子】

 「えっ、松たか子は歌も歌ってるの?」と思っている人もいると思いますが、じつは

歌も歌っているのです。

 さすがにデビュー曲の「明日、春が来たら」は、聴けませんでしたが、それからだん

だんとうまくなってはきています。

 ちょうど4年前、私がひとりで香港をふらりと旅していたとき、ホテルでテレビを見

ていたら、大晦日の紅白歌合戦が約1カ月遅れで放映されていて(広東語の字幕付き)

、そこで彼女が「夢のしずく」を歌っていて、いいなあと思いました。

 歌詞も自分で作ってるとのことですが、何の変哲もないさらっとしたフレーズの中に

、女性のさりげない恋心をうたっているところがいいですね。

 【ZONE】

 札幌出身の4人組のバンド。「Secret Base」でブレイクしましたが、か

わいいのもそうですが、やっぱティーンエイジャーの真っ只中にいるせいか、ピチピチ

とはじけてるって感じがします。

 年末に1人脱退して(名前を失念してしまった。みんなアルファベットの同じような

名前なんだよな)、新しいコが代わりに入ってどうなるかと思いましたが、今までの路

線でいいカンジでつながってるなあという気がします。新曲の「卒業」を聴いてると、

自分も思わず中学時代に戻ったような気分になります。歌に透明感がある。

 あと、BoAチャンに一青窈も私のお気に入りですが、基本的に売れている歌という

のは、それなりにいいというのが実感です。やっぱり、みんなそれぞれにオーラを持っ

ていて、それに大衆が引かれているというところがあると思います。